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『プロジェクトN』PowerfulAssistor開発秘話

更新日:2022年01月26日

『PowerfulAssistor』は北米・カナダの工場の屋内に設置するNEC/NFPA70に適合(Unit Substations)の『ULリスティング認証』を取得した低圧電力用変圧器ユニットです。社運をかけて臨んだ開発秘話を公開します。

200X年某日、布目電機の営業マンは大手自動車部品メーカーとの
商談の際、こんな一言を聴いた。

 

「布目さんはトランスの海外規格対応やってるけど、
NEC70/2005 に対応できるの?SCCRも銘鈑表示できるといいよね。」

 

当時あるメーカーがSCCR(短絡電流定格)に関わる
問題を起こしたことも大きな話題になっており、
北米に生産拠点を持つ自動車関連メーカーにとって
SCCR対応をいかに行うかは重大な命題であった。

 

顧客の海外発展のため、 ひいては日本の製造業が
世界を相手に憂いなく戦うことができるように…

 

当時の変圧器メーカーはどこも挑戦しなかった
トランスを活用したSCCR対応製品を生み出す
プロジェクトが動き出した。

 

↓こちらを流しながらお読みいただくと臨場感が増します。
BGM:中島みゆき 地上の星

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営業マンの報告を受け、布目電機はすぐにWマークトランスBOX
(欧州・北米規格両対応のケース入りトランス)の開発を開始。

 

工業用制御盤規格UL508Aを適用することとなった。

 

しかし、そこに大きな壁が立ちはだかる。

 

新たなトランス規格取得やBOX全体での評価……

さらには莫大な開発費がかかることが発覚。

 

プロジェクトは頓挫してしまった……。

 

……それから数年の時が過ぎた。

 

しかし、顧客の「もっとSCCR対応をシンプルにしたい。」
という声は日ごとに大きくなる。

 

「お客様の期待をこれ以上無視するわけにはいかない。 」

布目電機はトランスのリーディングカンパニーの誇りをかけ、
ついにプロジェクトの再開を決断した。

 

 

当時、変圧器を利用してSCCR対策する場合の条件は、
「変圧器容量 ≦ 10kVA」の規格書記載のみであった。

 

布目電機は400A(2次側電圧200V時 139kVA)までの
評価試験を行い、工場受電設備側の規格である

「UNIT SUBSTATION(ユニットサブステーション)」で
NEC/NFPA70 へ適合させることでULリスティング認証を取得。

 

銘鈑にはUL規格の上位規格にあたるIEEE規格を利用し
lsc(対称性短絡電流)値を記載することに成功した。

 

これによりSCCR値との整合を安心して図れるようになったのである。

 

その製品名には、いつか布目電機が胸を張って世に出せるような
オリジナル製品ができたときのためにという願いを込めて
商標登録していた、「Powerful Assistor(パワフルアシスター)」が
冠せられることとなった。

 

日本を代表するトランスメーカーとして、海外規格対応を
リードし続けてきた布目電機の技術力が結実した瞬間であった。

 

プロジェクトN -完-

 

トランスBOX