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トランス(変圧器)の電圧がスペックより高くなります。不良でしょうか?

更新日:2022年03月17日

タイトルのような現象はほとんどの場合は不良ではなくトランスの設計上の特性により起こります。 当記事ではその詳細や特殊な事例などについて解説いたします。

「トランス(変圧器)を購入して設置しようとしているが、
事前に電圧を測ったらスペックよりも電圧が高く出る。」

という問い合わせをよくいただきます。

 

「不良ではないのか?」

「何か調整方法があるのか?」など

続けてご質問いただくのですが、

 
結論から言うと不良であることは極めて少なく、
特殊な調整が必要なわけでもありません。

 

ではなぜ、こんな現象が起こるのかというと
トランス特有の「巻き上げ」という処理が関係しています。

 

巻き上げとは?

通常、トランスは一次側から二次側に電気が流れるときに
ロスが発生するため定格電圧よりも電圧が低くなってしまいます。

 

「巻上げ」とはこの現象への対策として、
電圧が2%程度高くなるように巻線を多く巻くことで
フルロード時に定格電圧に近づけるように調整することを指します。

 

巻上げ処理がされていると、無負荷で電圧を計測した際に
電圧が高く出てしまうため、一見不良のようにみえますが正常な状態です。

 

巻き上げ処理をしない場合

どんなトランスでも巻き上げ処理をするのかというと、
実はそうではなく、あえてしない場合もあります。

 

たとえば、太陽光発電のシステムに利用する場合などです。

 

「巻上げ」は一次側→二次側一方向にしか
電気が流れない使い方であることが前提になっています。

 

ところが、太陽光発電のパワーコンディショナーのように
双方向で電気が流れる場合に巻き上げ処理がされていると
1次側に逆流した際に電圧ドロップが大きくなってしまいます。

 

そのため太陽光発電システム用のトランスは
「巻上げ」なしで設計・製作をします。

 

その他にも結線は通常△-△でS相接地をするなど、
細かな条件がいくつかあります。

もしも、太陽光発電システム用にトランスが必要になった場合、
詳細についてのご不明点があれば必ずメーカーまで
ご相談されることをおすすめします。

もちろん、布目電機も太陽光発電用トランスをご用意しております。

 

また、布目電機では設備ごとのトランスに関するご相談に
お答えするのはもちろん、

待機電力を大幅にカットする高効率トランスのご提案も可能です。

 

カーボンニュートラルへの対応要求が日に日に大きくなる中、
高効率トランスの利用は大変有効な手段の一つです。

 

太陽光関連に限らず幅広い用途にご活用いただけますので、
ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。

 

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